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坐禅 効果、効能

坐禅

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坐禅 効果、効能

 

 坐禅は精神修養として広く実施されているが、その坐禅での効能に関して少々科学的な話を交えて書いてみたいと思います。
 まわりでもよく「坐禅をしてすっきりした。」などという話や、「坐禅で雑念が浮かんで、あれやこれや考えていて落ち着かなかった。」などの話を聞いたりしますが、禅僧の語録などを紐解くと、臨済宗の開祖と言われる栄西禅師は著書「興禅護国論」で「坐禅によって、身心は自然に一如一片となり、身体の調子は軽安となるだろう」と書かれています。禅を極めた高僧では、禅により身体の調子は良くなるということのようです。
では精神面での安定はどうでしょうか?
 
 鎌倉から室町時代に監修された「四部録(しぶろく)」という書籍の「坐禅儀」という文章では「坐禅によって自然に身体の調子は軽安となり精神は爽利に寂然として清楽ならん」と書かれています。どうやら精神面でも古来から効能はうたわれていたようです。
 
現在、禅での効能を我々は以下のようなものだと考えていると思います。
・安らぎが得られる
・集中力を鍛えられる
・ストレスが解消できる
・ストレスを生み出さなくなる。
それらの効能はなぜ坐禅でもたらさられるのでしょうか?

セロトニンとは

 禅の話を掘り下げる前に、ちょっとカタカナコトバで人間の体の中にある伝達物質といわれるセロトニンというものの話をさせて下さい。
 セロトニンとは『ノルアドレナリン』や『ドーパミン』と並んで、体内で特に重要な役割を果たしている三大神経伝達物質の一つです。
生体リズム・神経内分泌・睡眠・体温調節などの生理機能と、気分障害・統合失調症・薬物依存などの様々なものに関与しているらしく、ノルアドレナリンやドーパミンなどの感情的な情報をコントロールし、精神を安定させる働きがあるそうです。
またホルモンとしても働き、消化器系や気分、睡眠覚醒周期、心血管系、痛みの認知、食欲などの制御にも絡んでいるようです。
このセロトニンが不足すると、個人差はあるとしてもこんなような症状がでたりする可能性もあるらしいです。
・無気力系
[疲れやすい、ぼーっとする、やる気が起きない、集中力がない、落ち込みやすい、
すぐくよくよする]
・感情系
[怒りっぽくなる、イライラする、キレっぽい、感情的になりやすい、欲求不満]
・症状系
[過食、拒食、偏頭痛、うつ病、パニック障害、依存症、統合失調症、不眠]
 

セロトニン不足の原因

セロトニン自体は自然界ではよく存在するものらしく、人間の体ではおおよそ10ミリグラム程度あるものらしいです。
ただその90%ほどは小腸粘膜細胞内にあり、8%は血液の血小板にあり、体を巡っているそうです。そして残りの2%が脳内の中枢神経(脳幹の縫線核という脳全体にいろいろと影響を与える部位-セロトニン神経)に存在するようです。この2%が人間の精神面に大きな影響を与えているらしいのです。
ではどうして不足したりするのでしょうか?
実はセロトニンの大敵は、ストレスと疲労らしいのです。また食生活も密接にかかわっているとの説もあります。昼夜が逆になってしまうようは不規則な生活、食の欧米化などもこのセロトニン減少の一因なのだそうです。

セロトニン活性化

 セロトニンは、①太陽光、②リズム運動、③規則正しい生活習慣で活性化するとの事です。
①の太陽光では、太陽の光を目に受けることでセロトニンは活性化するとの事です。また③の規則正しい生活では、睡眠が深い状態になるとよくセロトニンが分泌されるようです。
ところで②のリズム運動とは何なのでしょうか?
これはウオーキングや自転車走行など、一定の時間一定のリズムで動くようなものを指します。さらに呼吸というものこのリズム運動に入ることがあるそうです。ただし通常の漫然とした呼吸ではなく、腹式呼吸で、さらに丹田呼吸法という人体の丹田(へその下3寸[へそと恥骨稜の間を5寸とする骨度法による]に位置する)に意識を集中した呼吸法がセロトニン活性化に有効なのです。丹田呼吸法は息を吐き出すことを意識する呼吸法で、ヨガや太極拳、坐禅などで使われるものだそうです。
ここで、セロトニンと坐禅とがようやく絡んできてくれました。
あとこのリズム運動でのセロトニン活性化で大切なことが一つありました。それは意識を集中するということです。坐禅では坐ることを通して意識を集中することが求められます。これが実に有効なことが実証されたわけです。


禅と脳



 人間の脳の活動を図るものとして脳波というものがあります。

ガンマ波[30~50サイクル] 
非常に興奮している際に出る脳波。(言い争い、喧嘩)

ベータ波[20~30サイクル] 
正常な人が眼を開けて、活発に日常活動するとき出る脳波

アルファ波[10サイクル] 
心身ともに安静な状態で眼を閉じて、リラックス時に現れる脳波

シータ波[4~7サイクル] 
寝入りばなのウトウトとした状態で出る脳波

デルタ波[0,5~3サイクル] 
非常に深い眠りの状態ででる脳波


我々は通常(喧嘩をしていなければ)、②のベータ波が脳から出ていることが多いわけですね。
③のアルファ波は別名“幸福の脳波”と言われているとのことです。たしかにリラックスして目を閉じているときは、まさに幸福そのものですよね。しかしリラックスしているかどうかは別にして、坐禅の最中ではこの“幸福の脳波“がでるとの事です。坐禅は通常目を開いたまま行うのですが、それでもこの③のアルファ波がでるそうです。不思議なことですね。さらに坐禅の熟練者は④のシータ波まで座禅中に出るとの事です。
これは前述のセロトニン活性化にも最適の環境といえそうです。ここでも大切なことは、正しい呼吸法です。また坐禅を組むことで体の線が縦に一直線になり、腰への負担が少なくなります。また腹筋をつかった丹田呼吸法がしやすくなるもの体にとってプラスですね。


坐禅効果、効能まとめ
坐禅の効果、効能としては、脳波が安定すること、丹田呼吸法などでのセロトニン活性化が大きくかかわっているようです。坐禅を行ったあと爽快感があれば、自分の体内でセロトニンが活性化されたという実感がわいてくるかも知れません。
坐禅時に“幸福の脳波”であるアルファ波がでてくるので15分程度かかるとのことですので、セロトニン活性化には30分程度あればよいとのことです。
坐禅の時間は通常線香一本が燃える時間(約30~40分)とされているので、まさしく時間的にも最適。ここでも長い年月で坐禅を完成させてきた先人の知恵が体感的に生かされていることに驚かされます。